小説

「らっしゃいらっしゃい!!今日はいい品が入ってるよ!!」

「お客さん、ウチのちゃんこはどこにも負けない秘伝の隠し(ry」


「なんかすごいお店がいっぱいね・・・それも食べ物屋さんばっかり・・・。」

「あれ?かがみ・・・さっきお昼食べたばかりなのにもうお腹空いたの?」

「な・・・!誰もそんなこと言ってないでしょ!!」

イノキ山を越え、やってきたのはこなたたちにとって2つめのジムがあるカミンアシティ。

街に入るなり立ち込める美味しそうな匂いに多少魅了されながらも、彼女たちはカミンアジムを探し町の繁華街と思われる場所をさまよっていた。



らき☆ぽけ



第12話「先陣こなた!!VSハリテヤマ!」



「とりあえずここにいたらお腹が減ってきちゃう!とりあえず誰かに場所を聞くのが一番だと思うの。」

ウロチョロすることおよそ20分して、早くもかがみは誘惑に耐える限界に達していた。

かがみの申し出にこなたは手頃に聞けそうな人物がいないか見渡す。

「あ、お姉ちゃんあの人なんかどうかな?」

つかさが指差す先・・・。

そこには人ごみの中で明らか浮いた感じの侍姿の男がいた。

銀髪にちょんまげで水色のよれた袖着を着ている。

侍というよりは遊び人・・・いいとこまでいっても浮浪くらいにしか見えない。

かがみも流石にあんな奇抜な服装をやっている人物とはあまり関わりたくないというのが本心だったが、否定の言葉を言う前につかさは勝手に一人でその浮浪風の男に近寄った。

慌ててかがみは止めようとする。

「あのぉすいません。いいですか?」

実に遅かった。

オドオドと控えめにつかさが尋ね聞くと、男は返事をすることもなくポカンと口を開けつかさを凝視した。

そのあまりに怪しい、不審な反応にかがみはつかさの身の危険を感じたのかそっと下がらせると次は改めて自分でジムの場所を尋ねた。

「あのぉ・・・すいませんこの辺にポケモンジムとかってありますか?」

かがみのその言葉に男はほんの少しだけ眉を寄せた。

「ジム・・・カミンアジムのことか・・・?」

「・・・はい。」

やっと口を開いたかと思うと男はまた口を閉じてしまった。

困ったかがみ達が諦めてその場を去ろうとした・・・その時だった。


「キタ――(゚∀゚)――!!」


突然の男の大声・・・。

こなた達の背中はその声で自然と背筋が伸びてしまった。

恐る恐る後ろ・・・男の方を振り向くと、キラキラした目でかがみたちを・・・正確にはかがみだけを見ていた。

「あの・・・」

「みなまで言うな!分かっている。ジムを探していたな!!よし、案内してやろう!!」

かがみが「大丈夫ですか?」と尋ねようとするもその言葉を塞ぎ、男はかがみ達を半ば強引にジムがあるという方角へと引っ張り連れて行った。

傍からみたら誘拐である。

そして、引っ張られ約5分。

こなたたちはようやく2つ目のジムカミンアジムに到着した。

いや、正確には”していた”だが・・・。

「あの、ありがとうございます。」

半分誘拐に近しい感じだったが、とりあえずは当初の目的地であるジムへと着いたのでひとまず礼を言っておく。

「ふん、気にするな。丁度拙者も帰るところだったんだ!!」

その台詞を聞き、こなたとかがみはハッとなった。

「まさか、あなた・・・ここの・・・」

かがみがそれだけ言うと男は首を大きく縦に振って見せた。

この男がジムリーダーなら話が早い。

かがみは早速彼にバトルを申し込もうとした。

「ふふ・・・君がここに来た理由は言わなくても分かっているさ。見ただけでな・・・」

「あ、じゃあ・・・」

かがみとこなたの表情がパァっと明るくなった。


「拙者と結ばれに来たんだろう?」


「・・・は?」

明るくなった表情から一転、かがみとこなたは訳が分からないといった目を見開いた状態で男を見ていた。

「いやぁ・・・君を一目見た瞬間からおれの熱く純真な魂がドンファンの”じしん”の3倍は震えて震えて・・・・そして、確信したのだ!!君こそが運命の人なのだと・・・!!」

(だめだ・・・この人早くなんとかしないと・・・!!)

男の熱弁の最中二人の目は疑問の眼差しから明らか冷めた・・・憐れんだ眼差しへと変わっていたのは言うまでもない。

「君、名前は?」

「あ、私柊かがみで・・・」

「私は柊つk・・・」「あ、泉こn・・・」

「そうか!!かがみというのか!!素敵だ・・・このアビマルの名に全くもって相応しい。」

かがみ以外の名前を華麗にスルーしてアビマルは一人妄言を吐き続けていた。

「そうだ・・・拙者とお前の間に生まれた子の名前なんだが・・・・”コジロー”というのはどうだ?今ビビッとひらめいた。あぁ聞くからに天才肌!!これは3年後が楽しみだな・・・」

(だめだ・・・こいつ早くなんとかしないと・・・。)

かがみの不安をよそにアビマルの熱弁を続く。

「そうだ・・・君に着せてみたい服が何着かあったは・・・ズブッ!!」

こなたの回し蹴りがアビマルの腰に見事に入った。

アビマルは腰を押さえながら地面にへたり込むとこなたを睨みつけた。

「な・・・何をする・・・。」

「すいません・・・早く話を進めたいもので・・・。」

「む・・・そうか。」

腰をさすりながらアビマルはゆっくりと立ち上がりやっとこさ本題を進めてくれた。

「なんだ・・・ジム挑戦者か。いいぞ!今日は暇だか・・・ら・・・」

アビマルはそう言いながら何か大事な用を思い出したかのようにかがみをみた。


「いやいや・・・私の事はお気になさらずに・・・」

かがみが手をブンブンと横に振り否定の意を表す。

妙チクリンなことを言われる前の正しい対処法だ。

「ふむ・・・仕方ないなやるかジム戦・・・。他の二人は見学でいいのか?」

アビマルは少し残念な表情を見せながらこなたのジム戦をOKし、残りのかがみとつかさに確認をとる。

「あ、私もやらせてもらっても・・・」

「・・・!!」

かがみの控えめな挙手にアビマルの目がカッと開いた。

「な・・・かがみよ・・・俺達は運命に惹かれあった者同士とて未だ出会ったばかり・・・それをいきなりそんな・・・心の準備が・・・。」

「ちょおまっ!!どんな妄想を繰り広げてんだ!!ジム戦よ!ジ・ム・戦!!」

あからさまに頬を染めるアビマルにかがみはもう容赦なく突っ込んだ。

次くらいから拳辺りでも出てきそうだ。



そんなこんなで彼女たちはようやくジムの中へと通された。

「ハジ〜客だぁ!!」

「はっ!!」

アビマルの声とともに現れたのは黒服・・・忍者服に身を包んだスラっと身体が細長い色白の男だった。

「こいつはハジといって拙者の道場の一番弟子だ。」

「ハジと申します。今回は挑戦者のジム戦の立会人を務めさせていただきます。何卒よろしくお願いします。」

アビマルの弟子とは思えない落ちついた物腰と礼儀正しい口調・・・。

つかさもつられて畏まったおじぎをする。 それを見てこなたもかがみも安心する。


「で?どっちが先に私とやるんだ?といっても後の者は確実に明日に回ってしまうが・・・。」

「わたしで〜す!!」

グーにした手を上げながらこなたが嬉しそうに返事をした。

その横では少し悔しそうに自分の開いた掌を見るかがみがいた。

どうやらじゃんけんで順番を決めたらしい。

「こなちゃん、頑張ってね!!」

「おおともよ!!」

応援席で声をかけるつかさをこなたは余裕たっぷりに手を振って応えた。

「それでは、これより挑戦者・泉こなたとカミンアシティジムリーダー・アビマルによる公式戦を行います。使用ポケモンは1体による3対3。先にどちらかのポケモン全てが戦闘不能になった時点で試合は終了です。なおバトル中挑戦者にのみポケモンの交代が認められます・・・。」

「先に言っておくが拙者の扱うポケモンは格闘タイプだ。」

「へぇ・・・まぁ道場持ってるくらいだもんね?なんとなくの予想はついたよ!」

こなたは笑みを絶やさず、早速一匹目のポケモンを構える。

それに合わせてアビマルもポケモンを構えた。

「いけっ!ワンリキー!!」

「頼んだよ、ヒコザル!!」

「リキーッ!!」

「ヒコーッ!!」

こなたの一体目はヒコザル、アビマルの一体目はかいりきポケモンのワンリキーだ。


出てきたポケモンにかがみはお約束かのように調べ始めた。

「あれは・・・ワンリキーね?えーっと”自分を鍛えるのが好きで子供のような体だが大人百人なら余裕で持つことが出来る。”か・・・。」

「イ○バの物置みたいだね・・・。」

つかさの言葉に思わずうんと応えてしまったかがみ。

まぁ他に人間百人という言葉にふさわしい例えもそうは思いつかなかったのでよしとしよう。


「じゃあ、先手行かせてもらうよ!!ヒコザル”かえんぐるま”!!」

ヒコザルは炎に包まれると、そのままワンリキーめがけて突進した。

「ワンリキー、受けとめろ!!」

「リーッ!!」

「へ?」

アビマルの指示でワンリキーはヒコザルの”かえんぐるま”を受けとめた。

「そのまま”じごくぐるま”!!」

ワンリキーは体全体でヒコザルを掴みかかるとそのままゴロゴロと回り出した。

まさに捨て身の技である。

「ヒコザル、”ひのこ”!!」

「ヒ・・・コッ!!」

「・・・!?」

ヒコザルは掴まれながらワンリキーの顔面に”ひのこ”を浴びせた。

流石に怯んだワンリキーはつい体の力を緩めてしまう。

ヒコザルはその機を逃さず無事、ワンリキーの”じごくぐるま”から脱出する。

当のワンリキーは止まることはできないようでそのままジムの壁に激突しダメージを受けた。

「よし!!」

「む・・・!!」

小さくガッツポーズをとるこなたに対し少し顔をしかめるアビマル。

「ワンリキー”からてチョップ”だ!!」

アビマルはすぐに次の攻撃の指示に移る。

「ヒコザル、かわして”みだれひっかき”!!」

ヒコザルは見事にワンリキーの”からてチョップ”をかわすと後ろを取り両手での連続ひっかきこうげきを繰り出す。

右腕を顔の前にやり必死にヒコザルの猛攻に耐えるワンリキー。

「ワンリキー、抜け出せ!!」

たまらずワンリキーは後ろへと下がる。

(なかなかにすばしっこいな。ならばまずは足を・・・)

「ワンリキー”がんせきふうじ”!!」

ワンリキーは勢いよく床を叩くと、ヒコザルの四方から岩が地中から飛び出し、一斉にヒコザルを捕らえ、閉じ込める。

体に纏わりついた岩の鎧はヒコザルの自由を確実に奪っていた。

「これは・・・まずい。」


「あんな技が・・・!!これじゃヒコザルは動き回れないわよ!!さっきみたいに”じごくぐるま”だって抜け出せない・・・」

ヒコザルの足枷の深刻さはかがみやつかさにも分かった。

しかも”がんせきふうじ”は岩タイプの技。

ヒコザルの体力も危惧される。


「戻って!!」

こなたは咄嗟にヒコザルをボールに戻した。

それを見てひとますホッとするかがみ。

「ボールに戻すとあの岩はなくなるんだ・・・。」

しかし、まだ安心はできない。

次に出すであろうポケモンの内2匹はヒコザルと同じく岩タイプの技には滅法弱いのだ。

そんなこなたの2体目は・・・

「カモネギ、頼んだよ!!」

「カーモッ!!」

元気よく飛び出したのは格闘タイプと相性バッチリのカモネギだ。

しかし、”がんせきふうじ”が怖いのは変わりない。

「カモネギ、”みだれづき”!!」

カモネギは早くもワンリキーの間合いに入ると手に持つネギで一気に攻めていく。

「負けるかぁ!!ワンリキー受けとめろ!!」

再びの”受けとめろ”命令。

ワンリキーはカモネギのネギを掴むと、まるでスーパーマリオ○4でマリオがクッパの尻尾を掴むかのように勢いよくジャイアントスイングをし始めた。

「カモモモッー!!」

「そのまま投げ飛ばせ!!」

ワンリキーはハンマー投げの要領でカモネギを天井に叩きつけた。

「”がんせきふうじ”!!」

そこへすかさず岩が飛び出てカモネギを捕らえに来る。

「”こうそくいどう”!!」

「カモッ!!」

カモネギは天井を蹴り勢いよく飛び出すと見事に”がんせきふうじ”をかわした。

そして、そのまま壁という壁を蹴りながら空中でスピードを高めていく。

「ワンリキー、こうなったら”受け”の構えを取るんだ!!ひとまずカモネギを捕らえることを優先しよう!!」

「リキッ!!」

「カモネギ、”いあいぎり”で決めちゃえ!!」

”こうそくいどう”と壁蹴りという二つの効果でより一層の早さを手に入れたカモネギの繰り出す”いあいぎり”はこれ以上にないほどの精度とスピードを身に付けていた。

それは、わざわざ事前に受けの構えを取っていたワンリキーを、瞬間目で追いきれないほどの速さで切り裂いた程のものだった。

気付くと、ワンリキーの体は傾き、そのまま倒れてしまっていた。

「ワンリキー戦闘不能・・・。」


「すごっ・・・」

「おしょう・・・強ーい!!」

余りに一瞬の出来事にかがみはポカンと口を開いたまま塞がらずにいた。

その横でつかさはまるで子供のようにただ純粋にカモネギの強さ・・・その早さに感動を覚えてしまっていた。

「まさか、ワンリキーが手も足も出ないとはな・・・。天晴だ。」

アビマルは流石ジムリーダーと言うべきか先ほどの攻撃を目の当たりにしても冷静そのものだ。

「そのカモネギ、なかなか面白いな?だが、次のこいつはどう対処する?アサナン!!」

「ナンッ!!」

アビマル2番手はめいそうポケモンのアサナンだ。

「アサナンか・・・”瞑想することで宙に浮くことが出来る。”か・・・。なるほどエスパーも入ってるのか。確かにスピードだけじゃ勝てそうにないわね。」

「どうでもいいけど、あのアサナンってなんか赤ちゃんみたいだよね?」

妙に緊張感のないことを言うつかさにかがみは気持ちだけの返事をする。

「・・・なんで?」

「だって、あの子が履いてるのオムツみたいじゃない?」

「・・・そう?」

つかさは妙に必死にオムツと主張するがかがみにはどうもそうは見えないのが現実で、その内つかさも諦めたのか強い主張はやめ、ボソボソと「オムツだと思うんだけどなぁ・・・」とぼやきだした。


「どんなポケモンが来ようが今のカモネギは止められないよ?”つばめがえし”!!」

カモネギは上昇すると、一気に降下、加速を始めアサナンに向かっていく。

「アサナン、”ねんりき”!!」

「ナン!!」

アサナンはカモネギが自身にぶつかる寸でのところでカモネギの動きを止め、そのまま地面に打ち付けた。

「カモーッ!!」

「あぁ・・・カモネギ!!」


「うーん実際のエスパー技って結構反則よねぇ・・・。」

打ちつけられたカモネギを目にしたかがみが言った言葉だった。

確かに”つばめがえし”よりあっちのほうが防御不可といった感じだ。

「でも、かわせるんじゃない?ほら、あのピンクのオーラみたいなのにに捕まったらダメなだけでしょ?」

つかさの言う通りよく見るとアサナンの周りからピンク色のオーラっぽい光が発せられていた。


「カモネギ、もう一度!!上昇して”つばめがえし”!!今度はアサナンの目に気を付けて!!」

カモネギは再び上昇すると一気に降下し”つばめがえし”を決めにかかろうとする。

「アサナン”みきり”!!」

アサナンはまるで予知していたかのようにカモネギの攻撃の動きを見切ると、見事に必中技である”つばめがえし”を交わして見せた。

「む・・・!」

「今だ!”とびひざげり”!!」

「ナーン!」

アサナンは大きくジャンプすると態勢を立て直そうとするカモネギめがけて強烈なひざげりを決めた。

「かわしてカモネギ!!」

「クァモ!!」

「カモネギ戦闘不能・・・。」

カモネギはそのままダウンした。


「全くスピードを活かしきれなかったわね。攻撃の殆どを受け流されちゃった。」

「こなちゃん、頑張って!!」


「うーん・・・アビマルさんの性格からして一気に攻めてくるタイプかと思ったんだけど意外と冷静だったね?だけど私だって簡単にはやられないよ?レディバお願い!!」

「レディ!!」

こなたの3体目はこれまた格闘タイプと相性のいいレディバだ。

「レディバ、”スピードスター”!!」

レディバの背中から無数の星が溢れ、流れ出す。

「これは”ねんりき”では捌けないな。”みきり”!!」

アサナンは見事に数多に降り注ぐ星の合間合間を縫って交わした。

「だったら、接近戦だよ!!”れんぞくパンチ”!!」

レディバはアサナンに接近し攻撃の構えをとる。

「アサナン”ねんりき”!!」

「レディ!!」

アサナンはすかさず近づいてくるレディバを捕らえる。

「レディバ”スピードスター”!!」

身動きを封じられながらも背中から星を出しアサナンに攻撃を出す。

「ナ・・・!!」

流石にこれは避けきれず、ダメージを受けるアサナンの集中は切れてしまいレディバは見事に”ねんりき”から解放された。

「今だ”すてみタックル”!!」

こなたは今のうちにと一気に勝負を畳みかける。

しかしアサナンも起き上がりが早く、すぐに反撃の態勢をとる。

「”とびひざげり”!!」

レディバの”すてみタックル”とアサナンの”とびひざげり”が炸裂する。

威力は互角だ。

「もう一発いっけーレディバァ!!」

こなたがもう一度特攻をかけてくるのを見越してアビマルもご丁寧にアサナンに”とびひざげり”を指示した。

「レディレディ!!」

「ナ――ン!!」

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

「おぉぉぉぉぉぉ!!」



「・・・レディバ”まもる”!!」


「ナン?」

「な!?」

さっきまでの勢いはどこへやら、レディバは急停止すると”まもる”で防御の姿勢をとった。

一方のアサナンの勢いは止まらずレディバに攻撃が当たることなく床に足を打ちつけ、外したことによる大ダメージを受けた。

「いけっとどめの”スピードスター”!!」

レディバはアサナンの真上からスピードスターを落とすと、アサナンはダウンしていた。

「アサナン、戦闘不能。」


「こなちゃん、勝ったね!」

「勝ったけど・・・これは卑怯じゃないか?」

「なに言ってんのかがみん!!戦略だよ戦略!!ね?」

と、ジト目で見てくるかがみを軽く説くとこなたはアビマルに同意を求めた。

まんまとこなたの罠にはまったアビマルはこっ恥ずかしそうだ。

「う、うむ・・・。こなたに乗せられて少々熱くなりすぎた・・・いやかがみに対する愛に比べるとまだまだぬるま湯といった感じなんだが・・・」

「いやいや・・・そんなフォローいらんよ。」

出会って間もないのに関わらずかがみの口調には既に呆れと苛立ちが入っている。



「では、拙者の3体目・・・つまりは大将はこいつだ!」

「ハリー!!」

アビマルの出した3体目・・・。つっぱりポケモンのハリテヤマだ。

「最後はハリテヤマできたか・・・。相手にとって不足なし!!」


「かなり大きいポケモンね・・・。相撲取りみたい!」

「あれじゃレディバも、ヒコザルも潰されちゃいそうだね・・・。」

つかさの言う不安が、かがみにも珍しく伝わった。

四股を踏みながらジム全体に地響きを鳴らしている様を見たらそう思うのも無理はないが・・・。

「よし、レディバ”スピードスター”!!」

まずは様子見といったところか・・・こなたはレディバに”スピードスター”を指示し、遠距離から相手の出方を伺った。

「”つっぱり”!!」

「な!?」

ハリテヤマは両の手で”スピードスター”を弾き返していく。

そして、それはレディバにヒットし、確実にダメージを受けていく。

「レディバ、”すてみタックル”」

「レディー!!」

こなたは一気に接近戦に持ち込み勝負を決めにかかった。

「ハリテヤマ、”ほのおのパンチ”!!」

「む・・・!!」

こなたはまさかの炎技に一瞬顔をしかめたが、すぐに表情を緩めた。

「レディバ、”フォーク”!!」

「ハリー!?」

「何!?」

レディバは炎の拳に当たる直前で急直下し、ハリテヤマの拳の下を通り一撃を与えた。

「ハリー・・・!!」

かなりのダメージを受けた様でハリテヤマはたまらず後ろに退く。

「負けるなハリテヤマ!”かわらわり”!!」

すると、ハリテヤマは器用に”ほのおのパンチ”とは逆の手でグーの拳を作り、下にいるレディバを地面に叩きつけた。

「レディー・・・!!」

「レディバ・・・!!」

強力な一撃をモロに食らったレディバだったが、ダメージ4分の一のお陰かなんとか立ち上がった。

それを見てホッと胸を撫でおろすこなた。

「よし、レディバハリテヤマに纏わりついて”れんぞくパンチ”!!

すかさずハリテヤマの体に憑くとパンチの応酬を浴びせる。

「”ほのおのパンチ”!!」

「ハーリー!!」

「レ・・・ディー!!」

ハリテヤマは今度こそレディバめがけて”ほのおのパンチ”をクリーンヒットさせた。

効果抜群の技を受けたレディバはそのまま戦闘不能となった。

「レディバ、戦闘不能!!」

これによりこなたは残りヒコザル1匹となってしまった。

「ヒコザル、頼んだよ!!」

「ヒコーッ!!」

再びフィールドにヒコザルが現れた。

先ほどのバトルでのダメージが少し見られるもののヒコザルは俄然やる気で気にするほどではない。

「よーし、ハリテヤマに”かえんぐるま”!!」

「ハリテヤマ、”ほのおのパンチ”!!」

ハリテヤマはほのおの拳を体の前に出し、向かってきたヒコザルの”かえんぐるま”を易く受け止めた。

「くっ・・・!!ヒコザル、一歩下がって”ひのこ”!!」

今までの教訓から下手な接近戦は仇になると考えたこなたは遠距離からの攻撃に移った。

しかし、ハリテヤマは全く堪えず、ヒコザルめがけて突進してくる。

「”あついしぼう”の方だったか!!」


「”あついしぼう”?」

「えーっと・・・ほのおタイプとこおりタイプの技を半減する特性か・・・。」

「え?じゃあこなちゃん、ピンチ?」

そう、ピンチである。

前回のマグマラシ戦ほどではないが、またもやヒコザルの炎技が封じられ、攻撃手段が”みだれひっかき”のみとなってしまった。

牽制の”ひのこ”が使えないのはこなたにとってはかなりマズイ状況である。

「ハリテヤマ、”つっぱり”!!」

「かわして!!」

こちらへと走って向かってくるハリテヤマは強烈な一撃を連続で繰り出す。

それをヒコザルは身軽さを活かして次々にかわしていく。

「ハリテヤマ、フィニッシュ!!」

「ハリ!!!」

「ヒコ?・・・ヒコー!!」

ハリテヤマ、最後の5発目・・・それは今までの4発とは比べ物にならないスピードで発せられたため、かわすタイミングがずれたヒコザルはまともに一発くらい、そのまま道場の壁に叩きつけられた。

「ヒコザル!!」

こなたの声に応えるかのようにヒコザルは立ち上がった。

「よし!」

ひとまずは、安心するこなただが状況の悪さは変わらない。

前のワンリキーとの戦いでのダメージが残っているというのにさっきの攻撃を耐えたのだって奇跡に近いだろう。

それ故もう一発喰らえば確実にヒコザルはやられてしまう。

しかし、勝つためにはハリテヤマの懐に入る必要がある。

あの巨体とパワーの前にノーリスクでそれを達するのはかなり難しかった。

「・・・”かえんぐるま”!!」

「”ほのおのパンチ”!!」

ゴリ押し勝負を選んだかこなたは”かえんぐるま”で一気に勝負に出た。

それをハリテヤマが”ほのおのパンチ”で迎え撃つ。

すると、ヒコザルはいとも簡単にハリテヤマに空中へとぶっ飛ばされた。

(なんだ?妙にあっけなく・・・)

不審に感じたか、アビマルはハリテヤマに注意を呼びかける。

「ヒコザル、ハリテヤマの顔に”ひのこ”!!」

降り注ぐ”ひのこ”にハリテヤマは先ほどとは違い怯んでしまう。

これはヒコザルの”もうか”が発動したため威力がいつもより増しているのであろう・。

「しっかりしろ、ハリテヤマ!”つっぱり”でとどめだ!!」

「ハーリー・・・!!」

ハリテヤマは手を前に出しながら落下してくるヒコザルを待ち構える。

「今だ!この位置!!”かえんぐるま”!!」

突っ張るハリテヤマの手のすぐ上で技を発動したヒコザルは、ハリテヤマの指に、突き指をさせる形でアタックすると、そのままハリテヤマの腕をまるで道のように転がっていく。

そして・・・

「”みだれひっかき”!!」

ヒコザルはハリテヤマの顔面を引っ掻き回す。

なんとかガードしようとするが、先ほど”かえんぐるま”を指に喰らった際に火傷を負ったらしく思うように腕を動かすことが出来ず、ヒコザルに力負けしてしまう。

「ヒコザル、とどめの”かえんぐるま”!!」

ヒコザルは飛び上がると、再び上からどてっ腹に”かえんぐるま”をクリーンヒットさせた。

その一撃をくらうとハリテヤマはよろめき、そして、そのままバランスを崩し、ついに倒れてしまった。

「ハリ・・・」

「ハ、ハリテヤマ!!」

「ハリテヤマ、戦闘不能・・・。よってこの勝負、挑戦者泉こなたの勝ち・・・。」


ハジの少し落ちたトーンで言われたため、なかなかに実感が湧かなかったが、目の前で先ほどあれほどまでにその巨体で自分たちを威圧していたハリテヤマが倒れ、動かなくなったのを見てこなたはようやく自分たちが勝ったという事実を噛みしめた。

「やったー!!やったよヒコザル!!」

嬉しさのあまりこなたはヒコザルに抱きついた。

「ヒコー・・・!!」

「よく頑張ったよヒコザル!!相性の悪い相手にホントに頑張った頑張った!!」

べた褒めされたヒコザルは少し照れたように頭をポリポリと掻いた。


「こなちゃん、おめでとう。」

「全く、一時はもうダメかと思ったよ。」

かがみたちもこなたに駆け寄り賛辞の言葉を送った。

そして、惜しくも敗北を喫したアビマルもゆっくりとこなたに近づいた。

「こなた、ナイスファイトだったぞ!俺の嫁候補にくわえといてやろう・・・。」

「結構ですから、それよりバッジを頂戴?」

アビマルのジョーク(?)をこなたはサラリと流し、左手を差しのばした。

アビマルは少し惜しそうに肩を落とすも、袖口から赤い色をしたバッジを取り出すとこなたに渡した。

「カミンアジムのジムバッジ、グレンバッジだ。大事にしろよ!!」

「うん、、ありがとう!!」

こなたは嬉しそうに先日タカミナから譲り受けたバッジケースにそれを収めた。

そして、ケースの蓋を閉めると同時にこなたはニンマリ顔でかがみの方を見た。

「じゃあ、次はかがみの番だね?頑張って!この人、見かけによらずつよいお!!」

「分かってるわよ!!」

かがみはそう言うものの相手が相手だけにバトル中に変に集中力を削がれるのではないかと不安になっていた。

「では、かがみよ!明日、挙式の準備をして待っている。我が一族の掟ゆえ式ではウェディングドレスを着せてやれないのが残念だが・・・・」

かがみの不安は色濃くなっていくばかりだ。



そして、その夜・・・。

こなた達3人はポケモンセンターにてまったりと休息をとっていた。

「アビマルさん、なんか変わった人だったね?」

キッチンを貸りて焼いたクッキーをみんなに振るまいながら、雑談をする3人。

つかさの言葉にかがみは嫌なことを思い出したかのように顔をゲンナリとさせた。

「うぅー・・・ジム戦って普通はもっとこう緊張するもんだと思うけど、相手があの人じゃ調子狂うな・・・。」

「でも、バトル中は至って真面目にバトルしてたから大丈夫だって!!」

こなたのフォローでかがみは納得するも、昼間のアビマルのあの変な暴走だけがかがみの頭にこびり付いていた。

「ま、大丈夫とは思うが・・・」

「そんなこと気にするより、明日の対策でも立てたら?ハリテヤマもそうだけど他の2匹もなかなかの強者だったよ?」

こなたに促されるままかがみはジョーイさんに治療してもらったポケモンたちを出した。

「チコ!!」

「クチッ!!」

  「ミンミ」

「ムックバァ!!」     

かがみはポケモンたち4匹をマジマジと見ながら頭を悩ませた。

「じゃあ、明日のメンバー3人は・・・」


かがみが明日のメンバー発表の最中のことであった。

カミンアジム近くの川の畔で頭を悩ます人物がもう一人・・・。

ジムリーダーアビマルは、ポケモンたち3匹と明日のことで頭を抱えていた。

「みんな、どう思う?拙者はどうしたらいい?」

黙り込むポケモンたち・・・。 そしてそれから無音の状態がしばらく続いた・・・その時だった

一匹様子のおかしいポケモンが体を震わせていた。・・・。

「・・・・!!!」

「・・・む?どうしたお前!今日のこなたのバトルが終わってから妙に体を震わせておるが・・・ってまさか・・・お前!!」

カミンアはそのポケモンを、慌てて道場に連れて行くとすぐさまハジを呼び寄せた。

そして・・・

道場内から近所から苦情が来るくらいのボリュームでアビマルの奇声が聞こえたのはそれから間もなくのことだった。


「かがみ・・・・あぁかがみよ・・・!!早く来い!拙者、最高のもてなしで迎え入れてやるからな・・・・ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」



続く。


あとがき


どもぽちゃです。

グダグダ感が否めない。

文章を覚えようとは努力するんですが・・・

まぁ書いて書いて書きまくりますぜ!?

話に触れますとですな今回はアビマルがメイン?でしたね!

ちょっと病気なんです彼w

それにしてもいきなり挙式はぶっ飛びしましたねww

まぁいるよねこういう人・・・いるいる!

次回は話に一度区切りがつく感じになります。

じゃ、また!!